cuts_045.gif (3674 バイト) 石の魅力 cuts_043.gif (3714 バイト)

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本物だけが生きる時代です。
石   を   楽   し   む

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加工せずに使ってみましょう

石を生かした手づくりを楽しもうと思い立ったとき、いきなり工兵や機械を使おうとするのではをく、加工をしないで「石を生かす」ことに気を配ってみてください。

足元に転がっている石、何となく気に入って拾っておいた石を見直してみましょう。ただの石だから何もできない、などと思ってはいけません。宝石だって、磨かれずに転がっていればただの石にしか見えないのですから。

石が、石でありながら、ただの石でなくなるのは、一個一個の持つ自然の形、質感、肌合、色、重み、そうしたものの独特の味わいが生かされたときなのです。

気軽に考えれば、加工しなくても、身近な材料だけでユニークで美しい作品が作れます。それには、まず、石の持つ魅カを知り、引き出すことから始めましょう。

 

の表情は無限です。石そのものが具体的なイメージを表わしているものもあります。

紙束の上に石を置く。こうすると、紙が風に散らされるのを防いでくれます。しかし、「ペーパーウェイト」と名付けたくなる石であれば、それはすでに文房具として生きています。石なら何でもよいというのではなく、石の持つ独自の表情が輝き出すのを楽しんでみたいのです。

●置く

山道を歩いていると、時に「?」「!」と感じられるような平らな岩が見つかることがあります。きれいに洗ってみると、思わぬ模様が出てきたりします。そのまま器として使ってみましょう。優れた陶芸家の作品のように、盛られた品が生かされます。

ちょっとしたガタつきは、ゴムパッキン、フェルトなどを丸く切って底に貼り、水平を出してやりましょう。

●組み合わせる

身につけたくなるような美しい小石があれば、細い革ひもや、銅の細い針金で効果的に結んでみるか、編み込んだ中に石を入れてペンダントやキーホルダーにしてみましょう。

この場合、石の美しさが生きるよう、石以外の素材の使い方がくどくならないようにしましょう。

●接着する

海石の、少し扁平で、同じ高さのものを選びます。色、肌合い、大きさなど、いろいろにとりまぜて並べ、接着しますとなべ敷きとか小物置になります。必ずしも正方形や丸形になる必要はありません。下地には、使い古したなべ敷きや、木片で結構です。若干の高さの違いは、接着剤の量で調整できます。

 

美  の   発  見


「手づくりする」ことにとらわれず、ちょっと身辺を振り返ってみると、案外私たちは、意識しないところで石を活用しています。ことに、アウトドアライフの中では石が大活躍します。しかしこれは、テントを押さえたり、炉を組んだり、また、漬物石にしたり、花壇の緑石に利用したりするといったような、いはば実用として使用しているにすぎません。

石庭、茶庭、墓標、床間の置石、石碑・・・のように、自然石の美しさを、最大限に生かして生活の中に取り入れてきた、私たちの祖先の美意識には、単に実用にとどまらない、心のゆとりを感じます。

もちろん、石で石を割ったり、石で石を磨いた古代から、鎌倉期、仏教の石彫という技術が確立していった時代、そして石材を多用する今日にいたるまで、自然石を自然石のまま楽しもうとする心がなくなったわけではありません。

現代に生きる私たちは、祖先の美意識に学ぶとともに、新しい感性をもって石とのかかわりを深め、自らの生活の中に取り入れて楽しむ、といった工夫をしたいものです。


 
★  石  ひ   ろ  い  ★

■日本各地で採れる石■

火山国である日本では、たいていの石質に恵まれています。残念ながら、ダイヤモンド・アメジスト・ルビー・エメラルド・・・といったような宝石類は採れませんが、きわめて複雑で多種多様な石を手にすることができます。

学術的なことは専門家にまかせるとして、石を楽しむために、石の成因・性質・特徴に関して、おおよその知識を持っておきましょう。石拾いの段階で、光る度合いや、加工の手数、仕上がり具合などを予想するのに役立ちます。

■石の成因■

日本各地で採れる石材は、花岩崗(通称みかげ石)が一番多く、ついで、安山岩、石灰岩、砂岩・粘枚岩・・・ですが、これらの学名は、産出地方によって、それぞれの地方名を冠した呼び名や通徐に変わります。

●深成岩は、通常石目がなく、硬質で、磨くと美しい光沢が期待できます。

●火山岩は、石目があるので、割りやすく、面白い形状が期待できます。火成岩は、硬質性ですから、もちろん磨くと光沢がでます。

●化学沈殿岩・変成岩も、硬質で美しく、銘石の類に恵まれています。

●砂岩・粘板岩・石灰岩等は、磨いても光りませんが、軟質だけに、風化や浸食作用を受けやすく、独特の表情を見せてくれます。

岩石や鉱物について、詳しくお知りになりたい方は、草下英明著「鉱物採集フィールドガイド」(草思社)/「岩石と鉱物」(同朋社)/「原色岩石図鑑」(保育社)等、読み物としても面白い本が出版されておりますから、ご一読をおすすめします。

■目的にかなった石■

日本には、採石法や、自然環境保全法がありますが、石材業者でもないかぎり、私たちがそうした法に触れるとは考えられません。しかし、やはり、目的にかなった、選りすぐった石だけを拾うよう心がけましょう。

作りたいと思っている作品を念頭において拾う場合より、石を見ることによって発想が触発されたり、石の美しさ・面白さにひかれて拾うことの方が、はるかに多いといえます。案外そうして拾い集めた石の方が、後々になって、生きる場合が多いといえます。だから、目的にかなった石を拾うとはいえ、あまり作品としての価値に基準をお

いた選び方をするより、自然の造形だからこそ持っている不思議さ、美しさを優先して拾いましょう。

●道具と服装

遊びのついでに、楽しみながらの石ひろい-----といった感じで、気楽に採石を楽しみたいものですが、山・川・海、いずれの場所で遊ぶときも、石ひろいする楽しみを、ぜひ加えておいてください。いつでも持ち出せるよう、丈夫なリュックサックに、次のものを用意しておきましょう。

stdoog.gif (17213 バイト)    ルーペ   カメラ

   金槌   軍手

   ビニール袋

   布製巻尺   小たわし

   ガムテープ   タガネ

服装は、通常アウトドアでの遊びに着用する衣服で充分ですが、とくに靴に関しては気をつけましょう。できれば、つま先部分の丈夫な安全靴か、登山靴が理想です。これは、案外石を取り落としたり、滑って石の間に足をはさんだりして、足指に血豆を作ってしまうことがよくあるからです。ごろごろした石の多い海岸や河原では、スニーカーが軽く、動きやすいのですが、石の取り落としによる怪我には、くれぐれも気をつけてください。

■山・海・川の石■

●立ち入りの許可を得る

全国各地には、その地方産出の採石場(丁場)があります。その周辺には、手ごろな石が見つかります。ただし、砕石場には、一般の人は出入りできませんし、また、大型車の横行も激しく大変危険です。むしろ、砕石場の近くには、たいてい加工場がありますから、そこに働く従業員か責任者の方に許可を得て、危険のない場所、たとえ

ば、加工後の砕石置場や原石のストック場所で、本業に影響のない範囲の石を採取させてもらうのが懸命でしょう。

●自然の保護

国立公園・国定公園・天然記念物指定地域・自然保護区域・私有地等での採石は控えましょう。

石そのものが、天娯記念物の指定になっていることはごくまれですが、転がっている石だから、と思っても、その石でなくてはならない理由があるわけではありませんから、たとえ宝石に感じられる石であっても、持ち帰らないようにしましょう。

●注意力

山歩きをしていると、時として、化石を含んだ石が見つかります。また、汚れて見える石でも、洗い流してみると、自然の描いたすばらしい抽象模様が表われたりします。風化している石の表面を野面<のづら>といいますが、その野面のちょっとした割れ目を見逃さず、タガネを入れて割ってみましょう。

●事故の防止

なんといっても、川や海に出る前の天然石の現場ですから、崖、沢、ガレ場では、魅力たっぷりの表情を見せて、私たちを誘惑します。登山の魅力と危険について、いろいろと語られているように、山においての採石には、事故のないよう充分過ぎるくらいの注意をしてください。

●川の上流の石

川の上流に見られるゴツゴツとした石は、種々の成分による模様が入ったものが多く、そのままで美しい置物として楽しめます。大きな金槌(石頭)で一挙に砕いて、複雑な形に割っておくと、後々の造形に役立ちます。ただ、上流の石は硬質で不定型なため、加工の際困難がともないますので、手軽に加工を楽しむためには、下流のややこなれた石から始めましょう。

●川の中流・下流・河原の石

なるべく中流や下流の、比較的流れのゆるやかな浅瀬には、長旅をして丸みを帯びた石があります。不定型の石でも、角がとれ、かなりの磨きがかかっています。

浅い川床の、やや大きめの石を除いた砂状の部分には、永い時間を経た丸い石、扁平な石があります。

河原では、冬期でもゆっくり観察できます。大きめの石を除けば、砂状の部分によくこなれた石があります。洗う前に、手指でこすってみましょう。充分な光沢を持って、磨きのいらないものが見つかります。

●有名な川石 ・

あなたの住む近くの川でも、有名な石に劣らない美しい石があるにちがいありません。

全国の川の石をご紹介するわけにはいきませんし、また、その必要もないと思いますが、有名な石としては、福島県・埼玉県の蛇紋岩、秩父の虎目石、青石、伊豆地方の抗火石、兵庫県の流山石、三重県の那智黒・白、高知県の五色砂利、新潟県の赤石などがあり、その地方の川の流域には、これらの石が破砕され、丸くならた小石が見つかるでしょう。

●海岸、砂浜の石

どなたでも経験がおありのように、砂浜に出れば容易に拾えますが、川の部分で述べましたように、地方によって石質が変わります。

ただ、砂浜には、貝殻・ガラス・れんが・その他さまざまな物質が、永い永い時間をかけて波によって洗われ、搗きあげられたものがあり、石に見まがうばかりの美しさで混じっていることを承知しておきましょう。もちろんそうしたものにも捨てがたい形があります。

石だけでなく、均一な砂もまた、大切な手づくり素材であることはいうまでもありません。

●入り江の石

入り江の大きさによって石の大小が違ってきます。入り江が小さいほど砂になりにくいので、その手前の、ほど良く、美しい丸みを持った石が、まるで選り分けられたように、大きさ別に群れになっていたりしますから、楽しくまた選びやすい採石場所です。

●海の石に、比較的多孔貿のものが多いのは、石の軟質の部分が浸食されたためですが、その肌は独特の面白味があり、加工もしやすく、磨けばそれなりに光ってくれます。また、石と石とがもみあって作り上げていった形も、丸みを帯びながらの不定形は、川石にはみられないユーモアと温か味があります。

 

<本小松石と海石のクラフト工房>

「福ちん」 fukuchin@fukuchin.com


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