石の魅力 |
本物だけが生きる時代です。
石 を 楽 し む
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足元に転がっている石、何となく気に入って拾っておいた石を見直してみましょう。ただの石だから何もできない、などと思ってはいけません。宝石だって、磨かれずに転がっていればただの石にしか見えないのですから。 石が、石でありながら、ただの石でなくなるのは、一個一個の持つ自然の形、質感、肌合、色、重み、そうしたものの独特の味わいが生かされたときなのです。 気軽に考えれば、加工しなくても、身近な材料だけでユニークで美しい作品が作れます。それには、まず、石の持つ魅カを知り、引き出すことから始めましょう。 |
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石の表情は無限です。石そのものが具体的なイメージを表わしているものもあります。 紙束の上に石を置く。こうすると、紙が風に散らされるのを防いでくれます。しかし、「ペーパーウェイト」と名付けたくなる石であれば、それはすでに文房具として生きています。石なら何でもよいというのではなく、石の持つ独自の表情が輝き出すのを楽しんでみたいのです。 ●置く
●組み合わせる
●接着する
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「手づくりする」ことにとらわれず、ちょっと身辺を振り返ってみると、案外私たちは、意識しないところで石を活用しています。ことに、アウトドアライフの中では石が大活躍します。しかしこれは、テントを押さえたり、炉を組んだり、また、漬物石にしたり、花壇の緑石に利用したりするといったような、いはば実用として使用しているにすぎません。 石庭、茶庭、墓標、床間の置石、石碑・・・のように、自然石の美しさを、最大限に生かして生活の中に取り入れてきた、私たちの祖先の美意識には、単に実用にとどまらない、心のゆとりを感じます。 もちろん、石で石を割ったり、石で石を磨いた古代から、鎌倉期、仏教の石彫という技術が確立していった時代、そして石材を多用する今日にいたるまで、自然石を自然石のまま楽しもうとする心がなくなったわけではありません。 現代に生きる私たちは、祖先の美意識に学ぶとともに、新しい感性をもって石とのかかわりを深め、自らの生活の中に取り入れて楽しむ、といった工夫をしたいものです。 |
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■日本各地で採れる石■ 火山国である日本では、たいていの石質に恵まれています。残念ながら、ダイヤモンド・アメジスト・ルビー・エメラルド・・・といったような宝石類は採れませんが、きわめて複雑で多種多様な石を手にすることができます。 学術的なことは専門家にまかせるとして、石を楽しむために、石の成因・性質・特徴に関して、おおよその知識を持っておきましょう。石拾いの段階で、光る度合いや、加工の手数、仕上がり具合などを予想するのに役立ちます。 ■石の成因■ 日本各地で採れる石材は、花岩崗(通称みかげ石)が一番多く、ついで、安山岩、石灰岩、砂岩・粘枚岩・・・ですが、これらの学名は、産出地方によって、それぞれの地方名を冠した呼び名や通徐に変わります。
岩石や鉱物について、詳しくお知りになりたい方は、草下英明著「鉱物採集フィールドガイド」(草思社)/「岩石と鉱物」(同朋社)/「原色岩石図鑑」(保育社)等、読み物としても面白い本が出版されておりますから、ご一読をおすすめします。 ■目的にかなった石■ 日本には、採石法や、自然環境保全法がありますが、石材業者でもないかぎり、私たちがそうした法に触れるとは考えられません。しかし、やはり、目的にかなった、選りすぐった石だけを拾うよう心がけましょう。 作りたいと思っている作品を念頭において拾う場合より、石を見ることによって発想が触発されたり、石の美しさ・面白さにひかれて拾うことの方が、はるかに多いといえます。案外そうして拾い集めた石の方が、後々になって、生きる場合が多いといえます。だから、目的にかなった石を拾うとはいえ、あまり作品としての価値に基準をお いた選び方をするより、自然の造形だからこそ持っている不思議さ、美しさを優先して拾いましょう。 ●道具と服装
■山・海・川の石■ ●立ち入りの許可を得る
●自然の保護
●注意力
●事故の防止
●川の上流の石
●川の中流・下流・河原の石
●有名な川石 ・
●海岸、砂浜の石
●入り江の石
●海の石に、比較的多孔貿のものが多いのは、石の軟質の部分が浸食されたためですが、その肌は独特の面白味があり、加工もしやすく、磨けばそれなりに光ってくれます。また、石と石とがもみあって作り上げていった形も、丸みを帯びながらの不定形は、川石にはみられないユーモアと温か味があります。 |
「福ちん」 fukuchin@fukuchin.com